風色の本だな

風色の本だな

自然を慈しむ心

 

自然を慈しむ心

パソコンに携帯電話・・・・本当に便利な世の中になりました。
   
けれども、本当の豊かさとはなんでしょう。
   
子どもたちには、やはり、自然の中で思いっきり遊んでほしい。

風や木や土の声に耳をかたむけてほしい。

そして、自然を慈しみ、人を愛する心を育ててほしいと思います。





ブーアの森


  
 ◆『ブーアの森』◆ 

せがわきり・文/忌野清志郎・画/TOKYO FM出版


未来を担う子どもたちとともに地球環境について考えてみよう。

親子で地球環境を感じ、考え、行動するためにこの絵本「ブーアの森」

が生まれました。

地球の環境保護についての絵本です。

忌野清志郎さんが絵筆を取り、文章は せがわきりさんが担当しています。

「子供がワクワクしながら、地球と遊べるように」という願いを込めて

作られたそうです。

“ブーア”という架空の生き物が本当に可愛らしく、いとおしく描かれています。

ある日、しょうくんが、森で遊んでいると、木の精から「ブーア」を

プレゼントされます。

ブーアは、「幸せなときは青」「悲しいときは黄」、「危険になると赤」に変わる

不思議な目をもっています。

しょうくんはブーアがいつも青い目でいられるように

守ってあげようと努力します。

しかし、しょうくんがブーアを街につれて行くと、

目が黄色にかわってしまいます。

最初は訳のわからなかった少年ですが、目の色が変わるのは、

街の空気や雨、公園の水が人間によって汚されていたからです。
 
そんな人間の横暴に腹を立てたカラスに襲われたしょうくんをかばおうとして、

ブーアは怪我をしてしまいます。

少年は傷ついたブーアを治してもらうために森の木の精のところに抱いていきます。
 
少年は、ブーアの目が街に住んでも、ずっと青い目でいられるようになるまで、

ブーアを森に返す決心をし、木の精に街の自然をきれいにすることを

約束するのでした。

森と動物と少年の会話で成り立っているので、子どもたちにもとてもわかりやすく、

絵も色彩豊かではっきりとしているので、印象に残ります。

今まで、人間が便利さを追求し、欲しいままに生活をし、大気や水が汚染され、

たくさんのゴミにより、地球が破壊されています。

今、地球の環境問題は本当に深刻な状態です。

学校でも環境教育には力を注いでいますが、あとは、大人や子どもたち一人一人の意識を

どれほど高められるかということが大切だと思います。




はくちょう

◆『はくちょう』◆ 

内田麟太郎・作/いせひでこ・絵/講談社


「はくちょうさーん」

いけは、おもわず さけんでいました……。 

白鳥の声が心にひびく、感動の新作絵本。

なんとも切ない思いにさせられる絵本です。

第一印象は、本当にこれが内田麟太郎さんの作品なの?と思うくらい、

彼の今までの絵本とは印象がちがっていました。

そして、いせひでこさんの絵が、本当に美しく、静かに静かに絵本の世界に引き込まれていきます。

≪内田麟太郎さんのメッセージ≫

金魚の涙はだれにも見えない、という想いが子どものころから宿っていた。

水と同じ色だから。

それが数十年のときを経て『はくちょう』になった。

恋物語を詩のような言葉で紡いでみたい……。
 
画家はいせひでこさんしか浮かんでこなかった。

その夢がまさか叶うとは。

そして、いま、私は絵本を前にして、不思議な感覚でいる。

二人の出会いは約束されていたのだろうか。

言葉と絵の境界は消え、『はくちょう』だけがある。

≪いせひでこさんのメッセージ≫
 
詩人とは、こういうことを平気で書くのか――『はくちょう』。

きれいすぎる。静かすぎる。まじめすぎる。美しすぎる。激しすぎる。

けなげすぎる……そして、なぞめいている。
 
登場するのは傷ついた一羽の白鳥とそれを見守る小さな池だけ。

舞台は空と大地だけ。物語の中の白鳥は一度も声を発しない。

だが池は……。
 
こんなむずかしい「絵本」は、超まじめに超現実的に超切なく超美しく、描くしかない。

すると聞こえてきた私だけのSwan Song。

〈白鳥が死のまぎわにうたう歌が最も美しい、ということから、芸術家の

最後の作品や演奏のことを"白鳥の歌(Swan Song)"という〉

 描き終えた時もしかしたら自分は死んでるかもしれないと時々本気でぞっとしながら描いた絵本でした。


みどりライン




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